「弘前ねぷた保存基準」では、以下の通り鏡絵と見送り絵について定められています。
①「鏡絵」(ねぷた本体正面の絵)
明治時代以降中国の三国志や水滸伝、あるいは日本の武将や説話の奮戦図・人情等が題材として多く用いられ描かれており、これを弘前ねぷたの鏡絵の基本とし、骨組には外貼りとする
②「見送り絵」(ねぷた本体裏面中央部の絵)
これまでは美人画が主に描かれてきているが、鏡絵や袖絵との関連等にも留意して描き、額縁内貼りとする
見送り絵額縁部分の内側額縁には「蔦模様」の下がった状態を、その外縁には「雲」を描き、何れも外張りとする
また、「弘前ねぷたまつりコンテスト審査基準」では、以下を判断基準にしています。
鏡絵は、武者絵等の躍動感溢れる絵柄で「動」を表現し、見送り絵は、美人画等で「静」を表現する。
これらを取りまとめ、題材別に分類すると以下のとおりとなります。
ねぷた絵の分類(資料:絵師 工藤盛龍) | |||||
項目 | 鏡絵 | 鏡絵 | 見送り絵 | 袖絵 | |
中国物 | 三国志 | (1)蜀 1.劉備、2.関羽、3.張飛、4.趙雲ほか (2)魏 1.曹操、2.典韋、3.許諸、4.徐晃ほか (3)呉 1.孫権、2.丁奉、3.太忠慈ほか (4)後漢 1.董卓、2.呂布、3.袁紹ほか女性の登場人物 1.祝融夫人(蜀)、2.孫夫人(蜀)、3.羅殺女など |
1.甘夫人、2.糜夫人、3.大更喬、4.小喬、5.貂蝉、6.蔡夫人、7.何大后、8.楽女、9.雀夫人、10.祝融夫人、11.孫夫人、12.西王母、13.織姫、14.徐氏、15.大真夫人、16.李氏ほか 水滸伝とともに、唐美人として表現されることもある |
1.龍、2.虎、3.鳳凰、4.風神雷神、5.山水(中国風)、6.花、7.唐子、8.鳥、9.唐獅子ほか 特に決まりはないが、鏡絵・見送り絵とかけ離れないもの |
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水滸伝 | 1.宋江、2.淋沖、3.花和尚、4.武松、5.公孫勝、6.黒施風李逵、7.鄧飛、8.九紋龍、9.丁得孫、10.単延珪ほか全部で108人 女性の登場人物 1.一丈青、2.母夜叉孫二娘、3.顧大舅、4.段三娘ほか、 |
1.楊貴妃、2.閻婆惜、3.旛潘巧雲、4.殷の姐姫、5.兎月天、6.楽女、7.九天玄女、8.丁夫人、9.瓊英ほか 三国志とともに、唐美人として表現されることもある |
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その他 | 漢楚軍談―項羽と劉邦、呉越軍談、秦の始皇帝 | ||||
日本物 | 1.津軽為信、2.里美八犬伝、3.曽我兄弟、4.源義経、5.赤穂浪士、6.川中島、7.酒天童子、8.羅城門、9.平将門、10.牛若丸と弁慶、11.坂田金時、12.太平記、13.源平盛衰記、14.源頼朝、15.加藤清正、16.桃太郎、17.蒙古襲来、18.巴御前、19.日本武尊、20.四条畷、21.一ノ谷、22.島原の乱、23.鎌田又八、24.武田勝頼、25.大森彦七と鬼女、26.悪源太、27.長谷辺の信連など | 1.花魁、2.伏姫、3.龍夜叉姫、4.小野小町、5.虎御前、6.紅葉狩り、7.巴御官前、8.鬼神のお松、9.清姫、10.小桜姫、11.日本武尊、12.衣通姫、13.官女、14.幽霊、15.安寿姫、16.静御前、17.濃姫、18.お市の方、19.松浦佐田姫、20.入重垣姫、21.八百屋お七、22.阿保良姫(為信の正室=戌姫、為信没後=仙桃院)、23.満葉姫、24.平安美人、25.常盤御前、26.地獄、27.道成寺、28.白逢姫、29.番町四屋敷、30.細川ガラシャ夫人など | 鏡絵に合った戦いに向かう隊列や、炎上場面など日本的なもの | ||
仏関係 | 1.不動明王、2.鐘馗、3.軍茶利明王、4.仁王、5.蔵王権現など | 1.白衣観音、2.騎龍観音、3.一葉観音、4.魚藍観音、5.悲母観音、6.天女観音、7.弁財天、8.洛神、9.技芸天、10.天臼女命、11.文殊菩薩、12.大日如来 |
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東奥日報より
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鏡絵 題名「関羽、華雄の首を取る」(絵師 聖龍院龍仙,2014年,東地区町会連合会ねぷた)
見送り絵 題名「甘夫人」 (絵師 聖龍院龍仙,2014年,東地区町会連合会ねぷた)
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鏡絵 題名「三国志 趙雲幼主を救うの図」(絵師 聖龍院龍仙,2012年,東地区町会連合会ねぷた)
見送り絵 題名「孫夫人」(絵師 聖龍院龍仙,2012年,東地区町会連合会ねぷた)
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